第176章 橘結衣が、よりによってお金のない冴えない男を彼氏にした

横田大輝はまだ考え込んでいた。そこへ男子が教室に入ってきて、「橘晴美さんが呼んでる」と告げる。

窓の外へ目をやると、案の定、橘晴美が立っていた。

横田大輝は眉をひそめる。

書道大会で起きた一件は、あまりにも想定外だった。

橘結衣の腕前が、大島史也にまで認められるほどだなんて思いもしなかったし、まさか橘晴美が盗みを働くとも思っていなかった。

橘結衣は鮮やかに周囲の目を引き、橘晴美は逆に笑いものになった。

「清楚ぶってるくせに、裏じゃ性根が悪い」

そんな噂が、あっという間に広がっていく。

――自分には釣り合わない、とまで言われていた。

言葉に振り回されたくはない。だが、橘晴美の...

ログインして続きを読む